結論:都市の浸水対策は堤防や下水道に加え、雨水を貯め浸透させる「グリーンインフラ」を組み合わせる段階へ。国は推進戦略2030を策定、公園の雨庭も始まっています。

グリーンインフラとは何ですか?

国土交通省はグリーンインフラを「自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進める」取組と説明し、2023年に「グリーンインフラ推進戦略2023」を、2025年6月に「グリーンインフラ推進戦略2030」を策定しました。背景には「気候変動の影響等により自然災害が激甚化する中、次世代を見据えた効果的・効率的な社会資本整備と土地利用を推進する必要」があるとしています。

雨庭(レインガーデン)はなぜ浸水を減らせるのですか?

八王子市は「雨庭(レインガーデン)は、まちなかの様々な場所で雨水を貯めて土に浸透させ、河川や水路、下水道等への雨水流出を遅らせることで、浸水や氾濫被害を減少させる効果があります」と説明しています。短時間の豪雨では、下水道に一度に流れ込む雨水の量が処理能力を超えて道路や地下が浸水します。雨庭は雨水を一時的に受け止めて時間差で流すため、ピークの流量を下げます。

自治体ではどんな取り組みが始まっていますか?

八王子市は富士森公園に令和7年3月7日、3つの雨庭を設置し、植栽やメンテナンスのワークショップを住民と実施しています。長池公園でも令和8年2月17日のワークショップで2か所を設置しました。雨庭は公園の一角など小さな場所に分散して置け、住民が育てられる点が特徴です。

自治体・企業の担当者は何を準備しておくべきですか?

雨水を遅らせる基盤整備と並行して、内水氾濫が起きたときの避難先の環境も計画に入れてください。浸水が長引く地域では、避難所の開設初日から床から離れて休める寝具と世帯ごとの区画が必要になります。Ten All Ten Pillar株式会社(奈良県天理市)は、避難所のプライバシーテント「シェルパー」と簡易ベッド「シェルベッド」を自治体向けに提供しています(防災事業ページ)。

よくある質問

Q. グリーンインフラは堤防や下水道の代わりになりますか?

A. 代わりではなく組み合わせです。国土交通省は自然環境の機能を社会資本整備と土地利用に活用する取組と位置付けており、既存の治水施設と併用します。

Q. 家庭でもできますか?

A. 八王子市の説明どおり、雨水を貯めて土に浸透させ流出を遅らせることが要点です。庭や雨どいの下に浸透ますや雨水タンクを置く方法があります。

Q. 効果はどのくらいですか?

A. 八王子市は「浸水や氾濫被害を減少させる効果」を挙げていますが、規模は設置面積と土質で変わります。地域の下水道計画と合わせて評価するのが基本です。

まとめ

都市の浸水対策は「流す」だけから「貯めて遅らせる」を加える段階へ進んでいます。国の推進戦略と自治体の雨庭を参考に、まちと避難所の両側で備えましょう。出典:国土交通省グリーンインフラ推進戦略/八王子市雨水流出抑制に資するグリーンインフラ(雨庭・レインガーデン)