結論:予備を非常持出品に入れて備えたうえで、失った場合は市町村の補装具費支給(眼鏡・補聴器)と災害時の入れ歯保険再製作の例外を使います。
なぜ眼鏡・補聴器・入れ歯の予備が必要なのですか?
眼鏡がなければ掲示板の避難情報が読めず、補聴器がなければ放送や呼びかけが聞こえず、入れ歯がなければ配られた食事を噛めません。内閣府の避難所の取組指針(令和6年12月改定)は掲示による行政情報の提供や「咀嚼機能低下者」への食事の配慮を求めていますが、本人の道具が手元にあることが最も確実な備えです。使わなくなった古い眼鏡や予備の入れ歯を非常持出品に入れておきます。
眼鏡や補聴器を失ったら公的な支援はありますか?
厚生労働省の補装具費支給制度(障害者総合支援法)は、障害のある方を対象に眼鏡・補聴器などの費用を支給する制度で、申請先は市町村、利用者負担は「原則定率1割負担」です。同省の「補装具費支給事務ガイドブック」(平成30年3月)は「災害等本人の責任に拠らない事情により亡失・毀損した場合は、新たに必要と認める補装具費を支給することができる」としており、耐用年数の途中でも再支給の対象になります。
入れ歯を失ったら保険で作り直せますか?
健康保険の入れ歯(有床義歯)は、厚生労働省の通知(昭和56年 保険発第44号)が定める原則により、前回製作から6か月を経過した以降でなければ保険で新製できません。兵庫県後期高齢者医療広域連合の案内は、この例外として「震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、有床義歯が紛失又は使用できなくなった場合」を挙げています。災害で失った入れ歯は、6か月以内でも保険で再製作できます。
自治体・企業の担当者は何を準備しておくべきですか?
避難所では、紛失を申し出やすい相談窓口と、補装具費支給や保険再製作の案内文を用意しておくと、避難者が制度に早くたどり着けます。あわせて、要配慮者が落ち着いて器具を着け直し手入れできる個室空間が要ります。Ten All Ten Pillar株式会社(奈良県天理市)のシェルパー 2-14Z4は、段差のないバリアフリー構造で車いすでも出入りでき、約1分で設営できるプライバシーテントです。
よくある質問
Q. 予備の眼鏡は古い度数でも役に立ちますか?
A. 掲示を読む、足元を確認するといった当面の用途には役立ちます。
Q. 補装具費支給は誰が申請できますか?
A. 厚生労働省の案内では、障害者または障害児の保護者が市町村長に申請します。災害等による亡失・毀損なら再支給が可能とされています。
Q. 入れ歯を作ったばかりで災害に遭いました。保険で作れますか?
A. 災害により紛失又は使用できなくなった場合は6か月ルールの例外とされています。歯科医院に事情を伝えてください。
まとめ
予備を持ち出し品に入れる備えと、失ったときに使える公的制度を知っておくことの両方が必要です。出典:厚生労働省補装具費支給制度の概要/補装具費支給事務ガイドブック(平成30年3月・PDF)/有床義歯の取扱いについて(昭和56年 保険発第44号)/兵庫県後期高齢者医療広域連合有床義歯(入れ歯)を再作成するとき