結論:国の指針は間仕切りで世帯ごとのエリアを設けてプライバシーを確保し、長期避難で生じる「こころの健康」の課題に巡回相談で備えるよう求めています。
なぜ避難所ではプライバシーの確保が求められるのですか?
内閣府(防災担当)の「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」(令和6年12月改定)は、「男女別のトイレ・更衣室・洗濯干し場・授乳室・休養スペースの設置等によるプライバシーの確保」を生活環境の改善対策に挙げ、女性の視点を踏まえた避難所運営の項で「プライバシーを確保する観点から、間仕切りにより世帯ごとのエリアを設けること」と定めています。雑魚寝は指針が求める姿ではありません。
避難生活はこころの健康にどう影響するのですか?
同じ指針は「長期の避難所生活により、生活環境の変化による被災者の心身の機能の低下、生活習慣病などの疾患の発症や悪化、こころの健康に関する問題等、健康上の課題が多く生じる」として、保健師・看護師等のチームによる個別訪問や巡回相談を実施し「身近な場所で健康相談をできるようにすること」を求めています。
何を備えれば世帯ごとのエリアをつくれますか?
指針が整備品目に挙げるのは「間仕切り用パーティション」「段ボールベッド等の簡易ベッド」「冷暖房機器」です。パーティション等は「各避難所において備蓄し、避難所の開設時に設置する」こと、行き渡らない場合は「あらかじめ定めていた優先する者(高齢者、障害者、女性等)に提供すること」、平時からの設置訓練が求められています。
自治体・企業の担当者は何を準備しておくべきですか?
世帯単位で区切れる間仕切りの数と保管場所、開設時に立てる手順、優先順位の文書化が要点です。Ten All Ten Pillar株式会社(奈良県天理市)のポップアップ式プライバシーテントシェルパー 2-14Z4は、約200×200cmの室内を取り外しできる間仕切りで2区画に分けられ、開口部は段差のないバリアフリー構造で車いすでも出入りできます。1人でも約1分で設営・収納できます(1台約6.5kg)。
よくある質問
Q. 間仕切りは何を基準に配置すればよいですか?
A. 指針は「間仕切りにより世帯ごとのエリアを設けること」とし、スフィア基準に沿って1人当たり最低3.5㎡の居住スペースとなるようにすることを求めています。
Q. こころの不調は誰に相談できますか?
A. 指針は避難所に保健師・看護師等のチームによる巡回相談や個別訪問を実施し、身近な場所で健康相談ができるようにすることを市町村に求めています。
Q. 家庭でできる備えはありますか?
A. 自宅避難のためのマットや簡易ベッドを用意し、自治体の避難所運営訓練に一度参加して、間仕切りとベッドの設置を体験しておくことです。
まとめ
プライバシーの確保は快適さの問題ではなく、指針が求める健康対策です。世帯ごとのエリア、休養スペース、巡回相談の三つを開設計画に書き込みましょう。出典:内閣府(防災担当)避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針(令和6年12月改定・PDF)/避難所の生活環境対策(内閣府)