結論:大規模地震で地殻変動が起きた地域では、国が「被災地域境界基本調査」を行い、地籍調査の成果を早期に復旧して用地調整に使えるようにします。
なぜ災害のあとに土地の境界が問題になるのですか?
地震で地盤が動くと、現地の杭や測量成果と登記上の位置がずれます。国土交通省は令和6年能登半島地震について「能登半島地震に伴う側方流動によって生じた土地の境界と現況のズレを把握し、併せて境界確定手法の検討を進める」としています。境界が定まらないと、道路や堤防の復旧工事の用地交渉も、住宅の再建も動きません。復旧の速度を決めているのは、実は土地の記録です。
「被災地域境界基本調査」とは何ですか?
国土交通省の地籍調査Webサイトによれば、これは「国土調査法の基本調査として創設」された調査で、平成28年9月に制度化されました。「大規模な地震等により複雑な地殻変動が発生」した地域を対象に、市町村等による地籍調査成果の早期復旧を支援します。平成28年の熊本地震では約560㎢の地域で実施されました。
この調査は復旧にどう役立つのですか?
同サイトは「被災地域における復旧工事等での用地調整に活用され、被災後の迅速な復旧・復興に大きく貢献」するとし、「局所変動補正パラメータや測量作業の結果、さらには地図や簿冊を被災地域の市町村や関係機関に提供することで、被災後の復旧・復興事業の円滑な実施が可能」になると説明しています。ずれた量を数値で補正し、使える地図として市町村へ戻す仕組みです。
自治体・企業の担当者は平時に何をしておくべきですか?
まず自分の地域で地籍調査が済んでいるかを確認し、境界の資料と測量成果の保管場所を把握しておくことです。復旧の初動では、記録の在り処を知っている人がいるかどうかで数週間の差が出ます。Ten All Ten Pillar株式会社(奈良県天理市)は、こうした復旧が動き出すまでの避難生活を支える資機材を自治体・企業向けに提供しています(防災事業ページ)。記録の備えと生活の備えは両輪です。
よくある質問
Q. 誰がこの調査を行うのですか?
A. 国土交通省が、被災地域の市町村等による地籍調査成果の早期復旧を支援するために実施します。
Q. どんな災害でも対象になりますか?
A. 対象は「大規模な地震等により複雑な地殻変動が発生」した地域です。すべての災害で自動的に実施されるものではありません。
Q. 成果は住民も使えますか?
A. 地図や簿冊は被災地域の市町村や関係機関へ提供され、復旧・復興事業に活用されます。個別の照会先は市町村の担当課になります。
まとめ
境界の記録は、災害のあとに初めて価値が分かる備えです。地籍調査の状況と資料の所在を平時に確かめておきましょう。出典:国土交通省被災地域境界基本調査(地籍調査Webサイト)/土地・不動産・建設業:地籍整備