結論:消防のドローンは延焼を予測する道具ではなく、火災や被災の状況を上空から確かめる情報収集の道具です。

なぜ消防はドローンを使うのですか?

総務省消防庁「消防の動き」令和3年2月号は「消防防災分野において、無人航空機(以下「ドローン」という。)については、建物火災の状況確認、山間部における要救助者の検索、水災・土砂災害等大規模災害時の被害状況の確認などに活用され、ドローンを活用する消防本部も近年著しく増加している」と述べています。目的は上空からの状況把握です。

どのくらい普及しているのですか?

同誌の調査によると、ドローンを活用する消防本部は平成29年の70本部(活用率9.6%)から、令和2年6月1日時点で309本部(同42.6%)へ増えました。実際に災害等で運用した実績のある本部は211で、運用の種別は火災調査151、捜索活動138、火災97、自然災害58の順です。消防庁自身も、緊急消防援助隊が情報収集に活用するため国有財産等の無償使用制度でドローンを政令市に配備しています。

現場は何に困っているのですか?

同じ調査で課題として最も多く挙がったのは「操縦者の育成や運用体制上の人員不足」で32本部、次いで「墜落等の安全面の課題」が15本部でした。機体を買えば使えるわけではなく、飛ばせる人と運用の決めごとが要る、というのが現場の答えです。

自治体・企業の担当者は何を準備しておくべきですか?

上空からの情報収集は、避難所の開設や資機材の手配という次の一手につながって初めて意味を持ちます。Ten All Ten Pillar株式会社(奈良県天理市)は、工具もパーツも使わず約1分で設置・収納できるポップアップ式プライバシーテント「シェルパー 2-14Z2」と、耐荷重300kg(7日間)の折りたたみ式簡易ベッド「シェルベッド SBOT70」を自治体向けに提供しています(防災事業ページ)。

よくある質問

Q. ドローンは火の回りを予測してくれるのですか?

A. 消防庁の資料が示す活用用途は、建物火災の状況確認、要救助者の検索、被害状況の確認です。延焼ルートの自動予測は、公的資料では確認できません。

Q. ドローンを持っていない消防本部はどうするのですか?

A. 消防庁は「ドローン運用アドバイザー育成研修」を実施し、修了者が未導入の消防本部へ活用事例の紹介や技術指導を行っています。

Q. 自治体が機体を整備する費用はどうなりますか?

A. 消防庁は、地方公共団体が災害時オペレーションシステム等で映像提供するためにドローンを整備する場合、緊急防災・減災事業債による財政支援を可能としています。

まとめ

いまのドローンは「予測する目」ではなく「早く正しく見る目」です。見えたあとの受け皿を平時に用意しておくことが、自治体と企業の宿題になります。出典:総務省消防庁消防の動き 令和3年2月号「無人航空機の災害時における活用状況等調査について」(PDF)