結論:内閣府の指針は、避難所の食事に原材料表示や献立表の掲示を求め、文化・宗教上の理由で食べられない避難者への配慮も明記しています。

なぜ避難所の食事に表示が必要なのですか?

内閣府(防災担当)の「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」(令和6年12月改定)は、「食物アレルギーを有する避難者が食料や食事を安心して食べることができるよう、避難所で提供する食事の原材料表示を示した包装や食材料を示した献立表を掲示し、避難者が確認できるようにすること」と求めています。中身が分からない食事は、食べられない人にとって配られていないのと同じです。

宗教や信条で食べられない人への配慮は決まっていますか?

指針は「文化・宗教上の理由による食事への配慮」の項を設け、「文化・宗教上の理由から外国人等の避難者が食べることができない食料がある場合、当該避難者に対し、可能な限り配慮することが望ましいこと」としています。特定の宗教食を用意することだけが対応ではありません。原材料が分かるようにしておけば、避難者自身が選べます。表示は、配慮の入口にあたります。

備蓄では何を用意しておけばいいですか?

指針は備蓄について「食物アレルギーを有する避難者にも配慮し、アルファー米等の白米と牛乳アレルギー対応ミルク等を備蓄すること」とし、「乾パン等の画一的なものだけにならないよう検討すること」を求めています。味付けのない白米は、食事制限がある人にとって選べる一皿になります。食事の質の確保の項でも「複数メニューの提供等」が挙げられています。

避難所を運営する自治体・企業は何を準備すべきですか?

包装を捨てずに掲示板へ貼る、献立表の様式を先に作る、周囲に伝えるためのサインプレートを用意する——この3つは費用をかけずに準備できます。指針は「周りから目視で確認できるよう食物アレルギーの対象食料が示されたビブス、アレルギーサインプレート等を活用すること」としています。Ten All Ten Pillar株式会社(奈良県天理市)は、こうした配慮が必要な方が落ち着いて過ごせる世帯区画をつくるプライバシーテント「シェルパー」と簡易ベッド「シェルベッド」を自治体向けに提供しています(防災事業ページ)。

よくある質問

Q. ハラール食を必ず用意しなければいけませんか?

A. 指針は特定の食事の用意を義務づけてはいません。文化・宗教上の理由で食べられない食料がある場合に「可能な限り配慮することが望ましい」としています。

Q. 炊き出しでも表示は必要ですか?

A. 指針は食材料を示した献立表の掲示を求めています。包装がない炊き出しほど、使った材料を書き出す意味があります。

Q. 相談できる専門職はいますか?

A. 指針は、保健衛生関係部局が管理栄養士等の専門職種に相談できるよう努めることを求めています。

まとめ

「用意する」より先に「分かるようにする」。原材料表示と献立表の掲示が、多様な避難者の食を最も広く支えます。出典:内閣府避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針(令和6年12月改定・PDF)/避難所の生活環境対策(防災情報のページ)